H.29 (わ) 第432号-H29.06.27傍聴

f:id:nameless_photo:20171210133023j:plain

傍聴者:◆Ll55qkuO.1Fk

管轄裁判所:K地方裁判所
傍聴した日:H29,06.27
刑事or民事:刑事
事件番号:H.29 (わ) 第432号
事件名:有印公文書偽造,偽造有印公文書行使
新件or審理or判決:審理
<感想>

被告人が弁護士という、面白い事例の裁判。
被告人は保釈済み。

事件概要が聞いても大雑把な事しか解らなかったので、聞いた通りに。
被告人は、ある地方自治体から、ある土地の所有権問題に関して依頼を受ける。
この依頼内容は、その土地が有る町の町内会が、その土地を共有地化したいという物で土地を共有地化したい町内会とその土地の持ち主の間で、訴訟にこそ発展していないもののちょっとした争いになっていたらしい。
そこで、その町内会から依頼を受けた自治体が、この土地の共有地化を進めるために被告に問題解決の依頼をしたという流れ。

依頼された被告は他にも訴訟を抱えていて多忙であったため、半年ほどその案件にかかる事が出来ずにいた。

依頼を受けてから半年程が過ぎ、地方自治体から被告である弁護士に連絡し土地問題の進捗がどうなっているかを問われる。
そこで、その問題を引き受けていた事を思い出した被告は焦り
「既に、相手方に対し訴訟を起こしている。」
と嘘の言い訳をする。

ここからの時系列は

H25
.7月 被告が自治体から土地問題に関して受任
12月 地方自治体から進捗を聞かれ、引き受けていた事を思い出し「既に、相手方に訴訟を起こしている。」
H.27
6月 一審の判決が出たが、相手が控訴してきたと地方自治体に説明
H29
2月 高裁判決が出たと虚偽報告
3月6日 地方自治体が、この高裁判決を元に土地問題を解決するために、判決の写しを求めて来たため判決を偽造
その後、地方自治体の方で、判決が存在しない事が判明し、話を聞いた際に被告から本当の事を話した上で弁護士会に自ら報告の上、出頭

この偽造された判決を元に地方自治体が土地問題を解決しようと、土地管理関係の機関に問い合わせた所「そんな判決は存在しませんが?」と伝えられ判決文が偽造であった事が発覚。

これまでの審理で立証は済んでいたらしく、傍聴した審理では証人質問が行われる。

証人として出廷してきたのは、被告と一緒に弁護士事務所を経営していた弁護士。
被告とは司法修習の同期で、被告と証人と、もう一人の同期と他一名の四名で弁護士事務所を立ち上げて活動して来た。

現在、被告は同事務所で弁護士としては解雇されたが事務員として再雇用されており、
事件の事は知った上での再雇用である旨、司法修習の同期だった者としても弁護士の一人としても再度同じ事をさせない様にしっかりと監督していきたいという旨が述べられる。

その後、被告本人への質問が行われる。
弁護士事務所を立ち上げて三年目に依頼された案件。
他の事件の対応で忙しかったのと気負いから来る心理的負担も有ったと考えられる旨が述べられる。

検察官から被告本人に対し「過信が有ったのでは?」「この偽造された判決文ですが、見ると良く出来ているんですよ。これだけ書けるならば、正直に着手していなかった事を話して改めて着手させて下さいと言った方が、良い仕事ができたのではないかと思います。」といった事が言われる。
これに対し、被告本人は、過信があった事は認め、判決文については、後から読み返すと自分でも粗が有るなと思った返答。
偽造した判決文に書かれている裁判官の名前については、被告が担当した訴訟の裁判官名を記載していた。

被害者となる、地方自治体及び、自治会とは示談が成立している旨、この件を反省して自ら出頭してきた等を考慮し。

検察側:懲役1年6カ月求刑
弁護側:執行猶予を求める

という所で審理終了

傍聴していて思ったのだが、仕事を始めて3年目の人に良くある、自分ではどうにも出来ないのに何とかしようと誰にも相談せず自分一人で奮闘して発生した結果という印象。

なので、傍聴していた私としては、被告人に同情的な気持ちを抱きつつ傍聴していた。

この件で被告は弁護士を出来なくなるのが悲しく思い、審理終了後に検察の人に聞いてみた所。
弁護士が犯罪を犯したからといって資格を剥奪される訳では無い。
弁護士法には、禁固刑以上の刑を受けた者は一定期間弁護士として仕事をする事は出来ないが、その期間が過ぎれば再度弁護士として仕事をしても良いとされている。
「刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」とされているので、10年間犯罪を起こさずに暮らす事が出来れば再度弁護士としての仕事は出来る、という話を聞く。
被告には、10年罪を償ったら、また弁護士として復帰して欲しいなと思う裁判だった。

(後日談)
追記として、傍聴には行けなかったが、判決はH.29.07.04に言い渡された。
この事件の判決は新聞に載っており、その内容では懲役1年6カ月、執行猶予4年と書かれていた。